衝撃の田原工場配属のお知らせ、そして田原寮へ引っ越ししてから最初の週末。
足りない荷物などを取りに帰るべく、帰省することにした。
しかし時間はすでに18時。
三河田原駅まで行くバスの最終はとっくの昔に出発していた。
こうなると駅まで行く手段はタクシーしかない。
歩いてだと1時間以上かかるし、田原は超車社会なので道沿いに街灯が全然ない。
田んぼや原っぱが広がる街灯もない暗い夜道を1時間以上歩くのは、いくら男でも気が引ける。
(田んぼや原っぱしかない土地だから田原という地名になったのでは?と今気づいた)
やむを得ず寮からタクシー会社に連絡する。
20分ほどして寮の玄関にタクシーが来たので乗り込んだ。
タクシーが超苦手だったが初めて当たり運転手に出会うことができた
正直、タクシーは苦手な乗り物の一つだった。
なぜなら今まで運転手の態度の悪さなどでかなり不快な思いをしてきたからだ。
代金を指でつまむように嫌そうに受け取る運転手や
(当然ありがとうございますなどの挨拶も一切ない)、
「えらい近い距離やの~」と目的地を伝えるなり嫌味を言ってきた運転手
(実際は5キロくらいあったので全然近い距離ではないのだが)などなど。
そうでなくても僕の地元の駅前では、ガラ悪そうな見た目のタクシー運転手がしかめ面しながら外でタバコをふかせていて、時折一般車にキレ散らかしていたのを見ていたのもあってタクシーって高いし運転手クソだしゴミみたいな交通手段だなと心底思っていた。
公共交通機関を使うよりもはるかに高い料金を支払って、不快な思いをするという何の罰ゲームですかこれ?という経験ばかりしてきたので自らタクシーを利用したことは過去に片手で数えられる程度しかない。
しかも過去にタクシーを利用した機会はすべて台風等で公共交通機関がストップしてしまって他に交通手段がなくなった時だけなので、それ以外でタクシーを利用するのは初めてだった。
今までに遭遇したクソみたいなタクシー運転手だったらどうしようと乗り込むくらいまで不安だった。
ましてや田原は超田舎なのでそういう運転手の遭遇率高そうだなとすら思っていた。
しかし、この帰省で使ったタクシーの運転手はかなり気さくな運転手さんで
しかもなぜかトヨタ期間工の事情にえらく詳しかったのでかなり話し込んでしまった。
寮から乗り込んでしばらくして「最近来たばっかり?」と話しかけられた。
全くその通りだったので当てられてかなり驚いた。
「今日寮に引っ越してきて来週から本格的に仕事が始まるんです」
と返すとそこからトヨタ期間工や会社のことについていろいろ聞かせてくれた。
正社員目指してるの?と聞かれたので、なりたいですけどもう結構年いってるんですよはははと返したら50代で期間工から正社員になった人の話をしてくれたり、リーマンショックで多くの自動車会社がリストラしたがトヨタはせずに、むしろリストラされた人を積極的に採用した話などを聞くことができた。
他にも様々なトヨタ関係の話を聞くことができた。
なんでタクシーの運転手がそこまでトヨタの事情に詳しいのかと思ったが、よく考えたら普段からトヨタの関係者を乗せているからそういった話を聞く機会が多々あるのかもしれない。
田原は豊田市と同じくらいトヨタ関係者住んでるし。
話を聞いていて、トヨタはこの地にしっかりと根付いていて信用されてるんだなと感じた。
この運転手さんと話していて見知らぬ土地、しかも何もない土地来てしまい正直不安でしかなかった心が癒され正直泣きそうになった。
それと同時に良いタクシー運転手もいるんだなと目からうろこだった。
寮から駅までの料金が2400円もしてぎょっとしたが、自分の話を聞いてもらえてしかもトヨタに関する貴重な話を聞けたのですがすがしい気持ちでタクシーを降りることができた。
今まで持っていたタクシーに対するイメージが180度変わる体験であった。
とはいえ高いのでしょっちゅう利用するわけにはいかないが。